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更新日:2021年2月10日
小埼沼は、現在では小さな池が残るだけですが、上代の東京湾の入江の名残りともいわれ、「埼玉の津」万葉集の遺跡とされています。宝暦3年(1753年)忍城主阿部正允(まさちか)によって建てられた万葉歌碑があり、正面に「武蔵小埼沼」の文字、側面にこの碑を建てた目的をあらわした文章、裏面に小埼沼と埼玉の津の万葉歌2首が万葉がなで彫られています。碑文では武蔵小埼沼はここだと断定しており、そのことを後世に残すことが、この碑を建てた理由だったようです。
「埼玉の 津に居る船の 風をいたみ 綱は絶ゆとも 言な絶えそね」
(さきたまの つにおるふねの かぜをいたみ つなはたゆとも ことなたえそね)
歌の意味は、津は船着場・河岸のことであり、埼玉の津に帆を降ろしている船が、激しい風のために綱が切れても、大切なあの人からの便りが絶えないように、と考えられています。冷たい北よりの季節風にゆさぶられる船の風景と、男女のゆれ動く恋の感情とを重ね合わせて詠み込んだ歌で、東歌(あずまうた)の中の相聞歌(そうもんか)に分類されるものです。
「埼玉の 小埼の沼に 鴨ぞ翼きる 己が尾に 零り置ける霜を 掃ふとにあらし」
(さきたまの おさきのぬまに かもぞはねきる おのがおに ふりおけるしもを はらうとにあらし)
この歌は、埼玉の小埼沼にいる鴨がはばたいて、自分の尾に降り積もった霜を掃っている寒い冬の早朝の風景を歌ったものです。この歌は、上の句が五・七・七、下の句も五・七・七の繰り返す形式で旋頭歌(せどうか)と呼ばれています。作者は、常陸国(ひたちのくに:今の茨城県)の下級役人であった高橋虫麻呂(むしまろ)といわれています。
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